もともと温泉巡りは好きだった。
毎年のように長崎県の雲仙には泊りがけで温泉を楽しんでいた。
お気に入りの旅館は「宮崎旅館」
昨年2022年12月にリニューアルオープンした。
リニューアル後、以前の日本の旅館というイメージはなくなり、ラグジュアリーなホテルに様変わりした。
個人的には以前の仲居さんがいる旅館が心地よく利用していたのだが…。
いろいろな温泉施設を試している中、長崎市内にある「稲佐山温泉 ふくの湯 長崎店」で岩盤浴があることを知る。
そもそも熱い寒いのが苦手で「岩盤浴なんて~汗かくだけじゃん」と思っていたのだが、興味本位も有り試しに入ってみた。
最初はあの熱気に耐えきれず数分で部屋を出る始末。
少しずつ体を慣らし「火福洞」と呼ばれる高温のドライサウナに入ってみた。
「うぅ~~、熱い、耐えられん・・・、でも、せっかく岩盤浴の料金も払ったし、もうちょっと頑張ってみよう・・・」
頭、顔からは、汗が滴り落ちる。腕周りには玉のような汗がにじみ出てくる。
次第に汗が体中から滝のように出てくることが少しだけ快感に感じるようになる。
イメージ的には高校生時代、野球部で滝汗を流しながら夏の練習をしていたイメージだ。
「なんか、ちょっと、気持ちいい・・・」
10分ぐらい我慢。
「あ~~、もう限界!」
急いでサウナ室を脱出。汗を拭き、すぐさまクールダウンできる部屋へ。
「はぁ~、涼しい~、生き返る~」
「このクールダウンが気持ちいいのか?」
否!
本当の多幸感はこの後に来るとは・・・。
休憩室にあるインフィニティチェアに腰掛け体を休めると・・・
なんだか、体がふわふわする・・・頭もぼ~っと、でも眠いわけではない・・・なんだ?この感覚は・・・、気持ちいいぞ・・・
これが最初に私が感じた「ととのう」だった。
「岩盤浴でこの感覚なら、サウナだったらもっと気持ちいいのか?」
サウナに興味が湧いてきた。
サウナのデビュー、いわゆる産湯は「佐賀ぽかぽか温泉」だった。
こちらも岩盤浴の設備が充実していて人気の施設。
「大汗洞」という広い部屋の岩盤浴が有り、体をゆっくり温めながらマンガ本などが読める、若い女性にも人気の施設。
サウナは浴場にある。ドライサウナ。
温度は85~90℃程。「さぁ!入ってみよう」
サウナ室は大きく、多分20人ぐらいは余裕で入る。
テレビが設置されていて、飽きることがない。
「おぉ~熱い。岩盤浴よりは、やっぱり熱いな・・・」
備え付けのテレビを見ながら、熱さに耐える。
3分・・・
5分・・・
8分・・・、汗が滝のように出てくる。もう限界かも・・・
「がぁ~!」とどこから声が出ているのか分からない声を発しながら、サウナ室を出る。
今度は水風呂だ。
水風呂が最大の壁。
最大の難関。
最大の敵。
水温は「15.0℃」を指している。
「こんな冷たい水風呂に入っても大丈夫なのか?」
「心臓発作とかしないよね・・・。」
職場のサウナ好きの先輩に
「まぁ~我慢して入ってみてよ。すぐに慣れるから~w」
この言葉を思い出し、「よし!」と覚悟を決める。
桶で水をすくい、まずは足元から流す。
「ひゃ~~~~!」
次に、肩口から全身に流す。
「ぎゃぁ~~~~~!」
更に、頭から全身に流す。
「うぉ~~~~~~~!」
心のなかで悲鳴を上げる。
「いやいや、まじに冷たいじゃん。死ぬ死ぬ」
そろ~り、そろ~りと足先から入り、腰、腹、胸、肩まで息を吐きながら入る。
「うぅ~~、やっぱり冷たい!無理かも!」
初めての水風呂は衝撃だった。こんなに冷たいもの、よくみんな入れるなぁが感想。
数十秒経つと、なんだが慣れてくる。
「あれ?なんか慣れてきたぞ。あんまり冷たくない・・・」
いわゆる羽衣の状態になった。
肌表面に接している冷たい水は、熱を持った身体によって次第に温められ、温められた水で、身体のまわりに薄い膜できる。これが羽衣。
1分半ほど水風呂に浸かり、体の水分を拭いて、外気浴へ。
佐賀ぽかぽか温泉は外気浴スペースがある。
リクライニングチェアに横たわり、素っ裸のままで青空の下へ。
冬の真っ只中。
さっきまであんなに体が冷えていたのに、全然寒くない。
体中の体毛が逆立つ感覚がある。なんかチリチリとする。
微妙なそよ風も敏感に感じる。
頭がふわふわしてきた、視点が定まらない・・・
ぐるんぐるん、血液が体中を流れ、脳みそに大量の酸素が送り込まれている。体はリラックス、頭は覚醒。そんな感覚。
おぉ~、やっぱり気持ちいいぞ・・・
「ととのったぁ~」
こうやって、私のサウナデビューが終わったのだった。
この体験以降、サウナにドはまり、色々な施設へ足を伸ばしている。
嫁も同時にサウナにハマり、長年の結婚生活で共通の趣味がなかった二人だったが、今では意気投合できる唯一の共通点になった。とてもいい事だと素直に思う。
サウナにいかない日は、夜な夜なサウナ関係のYouTubeや、ドラマ「サ道」などを2人で見ている。
「今度はどこのサウナに行こうかぁ~?」とサ旅の計画をたてるのも面白い。
日頃ストレスを抱えていると感じている方、スッキリしたい方、熟年の夫婦、ぜひサウナを試してみてはいかがだろう。
人生、なにか変化をもたらしてくれると思う。
多分であるが「人生を豊かにしてくれるものの一つに、サウナあり」だと思う。
実際、私はそうだ。
仕事が休みの日は、ダラダラと家で過ごしていた。
まったくもって、生産性のない生活。
サウナに出会い、嫁と共通の好きなものを見つけることで
休みの日は「今日はどこに行こう?」
「今度はここのサウナに行ってみたいね~」
「あそこのサウナは、すっごく気持ちよかった」
「あそこは水風呂がいまいちやね~」
などの共通の会話が生まれ、楽しい生活ができるようになってきた。
(まぁ、これまでも楽しい生活だったが、それ以上ってこと。)
あちこちの魅力的なサウナに入るため、遠出もするようになった。
活動的になった。
新しいものを発見し、感動する。
さらに、その土地、その土地での美味しいサ飯を楽しむ。
サウナに出会ってから「豊かな生活(人生)」が始まったような気がする。
というか、始まったのだ。
サウナの経験がない人がいたら、ぜひ一度、騙されたと思って体験してみて欲しい。必ずとは言わないが、なにか気持ち的に変化が生まれるはず。
よきサウナーの誕生を祈念して。
さあ、みんなで「サウナイクバイ」
サウナイクバイは佐世保の方言で「サウナに行こう」という意味になる
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